コラム【なすびのひとりごと】vol.24 2021/10/18公開

タイトル画像.jpg

~今の大学生の関心は?~

大学 1年生の頃を思い出してみたいと思います。大学受験を終え、JR(当時は国鉄)を跨ぐ高架橋が市内で一番高い構築物で、自転車で5分も走れば田んぼが広がる街で初めての一人暮らしを始め、今日は何をして遊ぼうか、誰の下宿で酒盛り(法律違反ですね)しようかといったことばかり考えていたように思います。当時、「飲酒も麻雀もパチンコも女の子を口説くのも”経済学”」と言っていました。

確かに今振り返ると、就職後に役立ったのは経済学の勉強ではなく、「お酒の飲み方」だけだったように思います。

第23回グラフ1.jpg

第23回グラフ2.jpg

上グラフは、私が担当している授業の熊大生約180名(1年生中心)に対するアンケートの結果です。自分のことでは、ライフプランや仕事・アルバイトや勉強に関心を持ち、社会情勢では、新型コロナウイルスをはじめ、SDGs、少子高齢化など身近な課題に関心を持っているようです。

私が入学した1974年はオイルショックが起きたばかりで、高度経済成長が終焉を迎え、重厚長大から短小軽薄へ産業も大転換する時期でした。燎原の炎のように燃え盛った学生運動も終わろうとしている時期でした。学内に立看板は残っているけど表面上は平穏でした。記憶に残っているのは、所属していたクラブ活動の先輩が「明日から地下に潜る。君たちとは会えなくなる」という話を聞いたことと、4年次に大講堂で”団交=団体交渉”が行われたことくらいです。私は、”ノンポリ(nonpolitical)”でどこか退廃的だったように思います。自分のキャリアプランなんか考えてもいませんでした。

このような自分と比較すると、今の学生の皆さんは、バブル経済崩壊後の”失われた30年”の間に生まれ、子供の頃にはリーマンショックも経験し、堅実かつ合理的な考えを持っているように思います。これは大変すばらしいことです。でもAIやDXが急速に浸透していく中、皆さんが社会の中心的な役割を担う20~30年先は、大きなイノベーションが起こり、”パラダイムの転換”が必要になるのではないでしょうか。そういう観点からは”チャレンジ”が必要ではないでしょうか。私が大学時代に学んだことで唯一覚えている「止揚(Aufheben)」が必要だと思います。

Category